映画 “ワールド・ウォー Z” を楽しむための 3 つのポイント ; WORLD WAR Z

皆様,御久しぶりです。しばらく放置していました Blog の更新をぼちぼち再開しようと思います。@holyholly 君から “久しぶりの更新は ‘ゾンビ映画’ で” とリクエストを頂いたので,御応えします。

御紹介するのは “WORLD WAR Z” です。

予告編


作品情報

 監督: Marc FORSTER
 脚本: Matthew Michael CARNAHAN, Drew GODDARD, Damon LINDELOF
 原作: Max BROOKS “World War Z: An Oral History of the Zombie War”
 音楽: Marco BELTRAMI
 撮影: Robert RICHARDSON
 編集: Roger BARTON, Matt CHESSE
 上映時間: 116 min

あらすじ

 元国連捜査官のジェリー (ブラッド・ピット) と家族の乗った車が,渋滞にはまっていた。すると,前方で爆発音が聞こえ,トレーラーが無数の車をはじき飛ばしてクラッシュし,パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状態から家族を守ろうと,妻子を連れて逃げるジェリー。やがて,彼は人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中,元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは,各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。 (“映画『ワールド・ウォー Z』 – シネマトゥデイ” より引用)

オススメ度 (5 段階評定)

 ★★★★☆

感想

Max BROOKS 氏の小説 “World War Z: An Oral History of the Zombie War” を原作とするゾンビ映画です。新宿ピカデリー にて 2D 字幕で鑑賞しました。映画は,原作とはだいぶ異なるようで原作好きの方には評判が悪いようですが,僕はゾンビ映画好きなのでこころの底から楽しむことができました。何でもすでに続編の製作が決まり三部作になるようです。いやはや。

WORLD WAR Z
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個人的には Max BROOKS 氏の “THE ZOMBIE SURVIVAL GUIDE: COMPLETE PROTECTION FROM THE LIVING DEAD” がオススメです。ゾンビ・パンデミックが起きたときに生き延びるための指南書です。必携です。

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“WORLD WAR Z” を一言で表現するのなら,Brad PITT 氏が主演のゾンビ映画です。日本では “Z” が “ゾンビ” であることを隠していたり,予告編でもゾンビを写さないことで,ゾンビ好きからは叩かれていますが,僕に言わせればゾンビ映画に貴賤はないのです。というわけで,以下ではゾンビ映画としての魅力を中心に御紹介したいと思います。なるべくネタバレしないように書きますが,観る予定のある方は読むのをやめておいてください。


僕がゾンビ映画を鑑賞するポイントは 3 つです。

 Point 1: ゾンビの設定
 Point 2: パンデミックによる混乱の中での人間ドラマ
 Point 3: ゾンビへの対抗策


まずは “Point 1: ゾンビの設定” についてです。”WORLD WAR Z” におけるゾンビは “走る” タイプです。しかも,身体能力がかなり向上しておりゾンビたちは力が強く動きも速いため,混乱が激しくて息をつく暇がありません。またゾンビに噛まれてからの感染と発症も速く,劇中では “12 秒” で発症するという設定でした。

George A. ROMERO 監督の “NIGHT OF LIVING DEAD” に端を発するゾンビ映画におけるゾンビは,動きが緩慢で,武器を持たない人間でも 1 対 1 なら何とか勝てそうなものだったわけです。この場合,集団に囲まれなければ何とかなるので,人々はショッピングセンタなどに立て籠もって対抗するわけです。また,噛まれてからの感染と発症もじわりじわりと迫ってくるので,ここで “Point 2: パンデミックによる混乱の中での人間ドラマ” として魅力が際立ってくるわけです。

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しかし,”28 DAYS LATER” という映画が,この設定に革命をもたらしたわけです。”WORLD WAR Z” にも登場する “走る,感染の速いゾンビ” の設定は,ゾンビ映画に新しい構造をもたらしたわけです。設定以外にも “WORLD WAR Z” は “28 DAYS LATER” からかなり影響を受けていると思います (“28 DAYS LATER” の続編の “28 WEEKS LATER” の方かも)。

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“WORLD WAR Z” の “走る,感染の速いゾンビ” はとにかくアグレッシブです。攻撃力が高く,襲われると武器のない状態では対抗することが難しい種類のゾンビです。劇中でも本当に恐く,いつ襲われるのか,いつ襲われるのかとゾンビが画面内に写っていないときでも最後まで緊張が解けなかったです (そう最後までは… この点は,Point 3 とつながります)。”WORLD WAR Z” におけるゾンビは五感も鋭敏でどこからともなく襲いかかってきます。

また集団で津波のように迫ってくるゾンビの映像表現は,ゾンビ映画好きも納得の迫力あるものでした。予告編にもある壁を乗り越えるところからの展開はすこぶる映像のテンションが高かったです。こういう迫力のある映像が観られただけで,僕としては大満足です。


Point 2: パンデミックによる混乱の中での人間ドラマ” は,ゾンビ映画の醍醐味でもあります。ゾンビが増殖する世界の中で人々は協力したり,争ったりしながらサヴァイヴァルをしていきます。ときには人間同士で戦うこともありますし,大切な人が目の前でゾンビになり,まさに命をかけた生存競争を迫られるわけです。少し前に話題になった海外ドラマ “THE WALKING DEAD” は,この部分がしっかりと描かれているため人気を博したのも肯けます。

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“WORLD WAR Z” では,Point 2 はあまり描かれません。とにかく映画の展開が速いので,じっくりとドラマを描く余裕がなかったのかなと思いたくなるくらい。Brad PITT 氏が演じる Jelly が家族の身柄の安全を確保するために仕方なく危険な作戦に身を投じるところで描けそうなものですが,あまり掘り下げられることもなく残念でした。人間同士の醜い争いのようなものも描かれないので,この点に関してはとても不満が残りました。まるでフラグを消化するだけのゲームのように退屈で味気ないものでした。


Point 3: ゾンビへの対抗策” は,ゾンビ映画の中では物語の推進力となる部分です。増殖するゾンビへの対抗策は,映画によってさまざまです。基本戦法としては立て籠もり,物理的な攻撃による各個撃破で,ゾンビに対する根本的な対抗策が示される作品もあります。

“WORLD WAR Z” は,まさにこの “ゾンビへの対抗策” を探す御話で,どうやったらゾンビに対抗できるかをあてどもなく探すことで物語は前へ前へと進んでいきます。この点はこれまでの映画にはない素晴らしい展開だったので,是非,御自身の目で御確認ください。Point 3 で白眉なのは “SHAUN OF THE DEAD” ですが,それに勝るとも劣らない展開でした。

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また,映画評論家の町山 智浩氏が指摘していたように “WORLD WAR Z” を世界の格差のメタファであると捉えることももちろんできると思います。これはゾンビ映画に共通するテーマでもあって,マジョリティとマイノリティの対立はいわばゾンビ映画の裏の主題ともいえるわけです。しかし,そんなことは映画やゾンビのオタクが考えればいいことなので,頭を空っぽにしてみてもらって十分に楽しめると思います。

映画の展開としては,後半に向けてどんどんストーリィの規模が小さくなっていく点を物足りないと感じることもあるでしょうが,俗にいう “だるまさんがころんだ” も METALGEAR SOLID のようで楽しめました。製作の段階でいろいろな問題が生じたため,脚本が二転三転したことや映画のレーティングを下げるために撮影が済んでいた最終決戦場面をカットしたり,中国でも公開するためにウィルスの発生源をうやむやにしたり,映画としては不満残るところもあると思いますが,それは後の 2 作でしっかりと描いてもらうこととしましょう。そのときも Brad PITT 氏はアクションするのかしらん。人気もあるようなので気になっている方は是非とも劇場でどうぞ。

映画を観終わったあと駅へと向かいながら,同じように駅へと歩く人々がゾンビになったらどうしよう… と想像してみて恐くなりました。まず間違いなく生き延びることはできないなと。ゾンビ映画を観たあとの現実の世界が一変して見える体験はとても楽しいものでした。その何とも言われぬ終末感を体験するだけでもゾンビ映画を観る価値はあると思うのです。是非とも御一緒に。


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http://www.worldwarz.jp/

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